歯の先天性な異常
学校や保育園、保健センターで検診をしていると、歯の先天的な異常を見かけます。近年は特によく見かけるようになった気がします。いろいろ仮説はたてられますがはっきりした原因はわかりません。次のようなものがあります。
①先天性歯
通常、生後6ヶ月くらいで最初の歯(下の前歯)が生えてきますが、誕生時もしくは生後10日以内くらいに生えてきてしまったものを言います。乳歯である場合と過剰歯(乳歯でない過剰な歯)の場合があり、ほぼ下の前歯です。生後3~4ヶ月までの赤ちゃんは母乳を飲む時、下あごの歯ぐきで下から舌を持ち上げ、乳首を舌と上あごの間に挟むため、このような歯があると舌の裏側を傷つけてしまいます。このような場合は過剰歯であれば抜歯、乳歯であれば角を丸めるなどの処置を行います。ちなみに発育とともに下あごを使わなくても舌を上に持ち上げることができるようになるため、(こうやって赤ちゃんは徐々に物を飲み込む時の舌の動きを覚えます)生後6ヶ月で歯が生えてきても母乳を飲む時に舌を傷つけません。
②癒合歯
本当は別々の歯であるはずが、隣同士でくっついている歯。乳歯で多く見られます。真ん中から1番目と2番目、2番目と3番目で癒合していることが多いです。歯がもろいとかそういったことは全くなく、審美的に気になるくらいですが、そもそも生え変わる時期が隣同士で異なるため、永久歯に生え変わるときに抜けるはずの乳歯がうまく抜けなかったりして交換がスムーズにいかないことが時々あります。歯の頭だけが癒合しているもの、根まで癒合しているもの、神経まで癒合しているものと様々ありますがわざわざ分離したりはしません。

③先天性欠如歯
生まれつき歯の元になるものがなかったり、生後にもうまくできなかったりして、欠如してしまった歯。永久歯の真ん中から2番目と5番目によく見られます。乳歯が抜けたのにいつまでも生えてこなかったり、いつまでも乳歯が抜けなかったりしておかしいということになり、レントゲン等で調べてみて発見されるケースが多いです。乳歯が抜けてないケースでは可能な限り使い続け、抜けてしまったケースでは、顎が小さければ意外に目立たなく歯が並んでしまうので問題ありませんが、顎が大きいと歯が足りない分だけ、隙間ができてしまうので奥歯を前歯に寄せるような矯正治療をすることもあります。

④形成不全歯
これは先天性といっても歯が骨の中で作られる際に後天的なものの影響を受けて、本来の歯の色や形でない歯になってしまったものを言うのでちょっと他とは違います。昔は歯の形成期にテトラサイクリン系の化膿止めを服用したため、色調が異常になるものがよく見られましたが、近年では化膿止めの発達によりテトラサイクリン系をあまり使わなくなったり、この副作用が知られるようになったりしたため、かなり減りました。
また、乳歯の虫歯がひどくなり根の中から根の先端、その周りの歯ぐきが化膿した状態が長いこと続いて、しかもそれが永久歯の頭が形成された時期と重なったために、形が異常になるものもあります。従って3歳以下で歯ぐきが化膿して腫れたりした状態が長く続いた場合は注意が必要です。
⑤過剰埋伏歯
余分な歯が顎の骨の中に埋まっているものです。歯並びに異常があり、レントゲン等で調べてみて発見!っていうケースが多いです。歯並びに影響している場合は抜歯、そうでない時はそのままにします。抜歯する場合はCT等を撮って立体的に位置を特定する必要があるので、大学病院等で行なうことが多いです。親知らずは埋まっていてもこれには該当しません。上の真ん中の前歯周辺に多いです。
他にも細かいものはたくさんありますが、比較的よく見られるには②と③です。また1つ異常があると他にもあることが多いので全体的に注意深く見ることが大切です。例えば乳歯の癒合歯の後継永久歯が先天性欠如歯だったり、先天性欠如歯が1本でなく複数にあったり、といった具合にです。



